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全盲のピアニスト

最近フィレンツェ・トスカーナ情報ではない記事が続いてますが、ご了承くださいませm(_ _)m。。

さて、ピアニストの辻井伸行さんという方を皆さんご存知でしょうか。
2009年6月にアメリカで開催されたヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで、日本人として初の優勝を収めた方です(当時20歳)。テレビ番組などにも時々出演されているようなので、日本では既に有名人となっておられるかもしれません。ここ最近また彼についての記事を読み深く感銘してしまったので、今日このブログでちょっとだけクローズアップさせて頂こうと思います。


彼が通常の健全な人と異なるのは、生まれつき全盲であるという点です。
しかし彼の演奏はその大きな障害を全く感じさせません。
事実、その事を知らない人が彼のピアノを聴いたとき、まさか全盲の人が演奏しているとは微塵も思わないでしょう。それくらいすごいです。

彼のピアノ暦は2歳のまだほんの幼児だった頃から始まります。
目の見えない彼は小さい頃から音に非常に敏感だったそうで、ある日母親が口ずさんでいた童謡を、突然おもちゃのピアノで弾き始めたそうです。しかもかなり正確に。YouTubeの動画を見るとびっくりします。なんと右手で主旋律、左手で副旋律を弾いています。
彼の天性の才能を見出した母親はなんとかしてそれを伸ばそうと東奔西走し、はるばるオーストリア在の同じく全盲であるピアニストにも会いに行ったりしたそうです。

そうして6歳のときに本格的にピアノを始めることになりました。きっかけは家族旅行でハワイに行った際、ホテルに置かれていたピアノを弾いて、そこに居合わせたまわりの人々から拍手喝采をを受けたことでした。
「大勢の人に喜んでもらえた事が何よりもうれしかった。」このときの経験、思いが小さな少年の心に強く刻み込まれたようです。

さて、ここで目の見えない彼は一体どうやって楽譜を読むのか?という素朴な疑問が出てきます。
簡単に説明しますと、先生がまずお手本を弾く。そしてそれを耳で正確に聞き取って同じように弾く。という形をとっているようです。最初に右手と左手をそれぞれ数小節ずつ、そして同じ部分を再び両手で弾く。。
実はこれも動画で見ることができるんですが、彼の耳の良さ、記憶力、手の動きにはまたもや驚かされます。
(その他、点字の楽譜も使うようです。)

彼はその後幾人かの著名なピアニストに師事し、その才能をぐんぐん伸ばしていきます。
小学生の間に何度も賞を受賞し、14歳で東京交響楽団とのコンサートに初共演。
17歳の時にワルシャワのショパン国際ピアノコンクールで「ポーランド批評家賞」を受賞。。。

しかしその裏には両親の複雑な思いがあったようです。彼の才能を盲目的に支持する母親と、厳しい現実を見つめ彼の将来を案じる父親。彼に対して常に厳しい態度をとっていた父親は、彼が様々な賞をとっても決してそれを手放しで喜ぶことはなかったそうです。
「ピアノばかり弾いているんじゃない。もっと勉強しろ。もっと本を読め。」
確かに、最愛のわが子にある程度必要な教養を身につけてほしいと願うのは、当然の親心ともいえます。



それではさっそく彼の演奏を聴いてみましょう。曲はリストの「Liebesträume 3 愛の夢・第3番」です。
辻井さん自身目が見えないということで、画像も真っ黒です。



ただ聴いているだけで感動してしまいますね。。
リストは極めて高い演奏技術を持っていた作曲家として知られ、ピアニスト泣かせの非常に難しい曲が多いそうなんですが、、この曲もきっと難易度は高いはず。。さらに、20歳そこそこの若い青年が弾いているとはとても思えないこの豊かな表現力。素晴らしい感性だと思います。



。。。。。



ある日、ある人が彼にこう尋ねました。


「もし神様が一瞬だけ目が見えるようにしてくれたら、何が見たいですか?」


彼は即、こう答えました。


「お父さんとお母さんの顔が見たい。。。」



彼のピアノからはやさしさが伝わってきます。ぜひ一度、生で演奏を聴いてみたいものです。


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by girasole7 | 2011-08-05 03:15 | 日記・その他